中国北京市にいる公介

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中国の日本語学習者へ情報発信するには何から始めるべきか?

 現在世界全体の外国人日本語学習者の数は約385万人となっており、そのうち中国大陸での日本語学習者は100万人を超え、第二位のインドネシアと圧倒的な差をつけ第一位となっている。2021年2月17日付の中日新聞も「中国での日本語を学ぶ中高校生急増」に関する記事が記載されており、日本語に関心を持つ中国人の数は少なくない

 

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   近年はコロナ禍の影響で中国ではオンライン上での語学教育への動きも活発化している。そこで今回は近年の中国大陸のネット上での日本語学校の動きを中心に話を展開していく。

 

目次

1.中国の中高生日本語学習者が急増している理由

2.中国の日本語学校が行う定番の情報発信

3.日本の日本語学校が行う情報発信~中国SNS

4.中国SNS発信に力を入れる外国語学校が最近始めている情報発信

5.最後に

 

1.中国の中高生日本語学習者が急増している理由

 

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 近年中国の中学生と高校生の間で日本語学習が増えている理由の一つに大学入試の日本語受験が挙げられる。中国の大学入試といわれる高考では英語の代わりに日本語を選択する中国の高校生も年々増加しており、2020年は前年の倍以上となる約13万人が日本語を受験したという。

 

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 中国のオンライン語学学習市場傾向*1

 

 またオンライン語学学習の充実も日本語学習者増加の要因として挙げられることがあるが、中国では、2016年に《国家重点支持的高新技术领域》リストにオンライン教育が追加され、ハイテク企業に認定されたオンライン教育企業には税制優遇を実施し、2017年からは《国家教育事业发展“十三五”规划》によって民間資本の教育参入を奨励し「インターネット+教育」を推し進められている。市場規模は2019年に523億5000万元に達し、年平均約20%の成長率で成長し続けている。そのため中国のオンライン言語教育業界全体の市場規模は2022年には900億元(日本円で約1480億円)を突破するのではないかといわれている。語学別にみると英語が圧倒的なシェアを誇るものの、こちらも英語の次に多い言語が日本語だ。

 

 こういった背景もあり、近年は中国ではSNSを積極的に活用し中国人日本語学者の心をつかむ日本と中国両者の日本語教育企業も増えてきた。そこで次に最近中国SNSでよくみられる日本語教育企業の主な宣伝手法を①中国にある日本語学校の定番②日本にあり中国への情報発信を行う日本語学校の定番③中国の中国SNS発信に積極的な外国語学校の中で定番 の三つに分けて述べていく。

 

2.中国の日本語学校が行う定番の情報発信

①Wechatの公式アカウント運営

 

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 中国の日本語学校の場合、Wechatの公式アカウント運用に力が一番注がれ定期的に更がなされ、カスタマーバー(上記写真の赤丸で囲んだ部分)では無料講座体験や応募、資料請求、割引券配布などができるように設定されている。その他のSNSに関しては、動画投稿も含め日本語学校ごとに力の入れようにばらつきが見られるため今回は割愛する。

 

②オンライン無料講座の設置

 

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 さらに、どの日本語学校もオンライン無料講座を設定している。内容は日本語入門動画であったり日本語能力検定試験対策や大学入試日本語など様々だ。しかしながら、氏名と電話番号を入力しなければいけないように設定されているものもあり、実際にこれらの無料講座を試すために氏名と電話番号を入力し申込をした中国人の友人の話では後日勧誘の電話がかかってきたケースもあったという。

 

③日系イベント開催or協賛

 

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 中国で開催されるコミケや日本文化体験イベントを開催または協賛、或いはイベントにブースを出展し、認知度の上昇や新規利用者の獲得・日本語学習者への日本文化体験の場を提供している日本語学校も最近は増えている。来場者の中には日本アニメや日本文化に興味のある中国人が多いため、中国SNSをあまり使用しない層へのアプローチの一選択肢として活用する日本語学校もあるようだ。

 

3.日本の日本語学校が行う情報発信~中国SNS

・中国人スタッフによる日本語授業&学校紹介

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 日本の日本語学校でも中国での情報発信用にウェイボーとWechat公式アカウントを開設し、その中でより積極的に情報発信を行う日本の日本語学校は中国動画共有サイトビリビリでもアカウントを開設し、動画を投稿している。その中で動画に関していえば、日本語学校アカウントではなく日本語学校教師個人アカウントが動画を投稿するケースの方が動画が広く拡散されているケースが多い

 

4.中国SNS発信に力を入れる外国語学校が最近始めている情報発信

・ショートムービーアカウントを活用

 

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  最近中国SNSを積極的に活用し情報発信を行う外国語学校の中で新たに始めているのが抖音(中国版TikTok)である。そして開設しているのは個人アカウントではなく、商家アカウントのケースも見られる。商家アカウントの場合、個人アカウントにはない商家バーが表示され、無料講座や体験授業の予約などを行う項目を設定可能だ。また個人アカウントに比べアルゴリズムによる広告要素の含む動画投稿のオススメ配信制限条件も緩くなるといったメリットがある。

 

Tiktokアルゴリズムに関する説明はこちらを参照してください。

beijingkosuke.hatenablog.com

 

さらに、日本語を教える動画や生放送を行う日本語教師アカウントも多い。抖音は知名度も老若男女幅広く、2020年には今後教育関連のコンテンツにも力を入れていくと発表していることから、今後は抖音を活用した情報発信を始める日本語学校が増えるかもしれない。

 

5.最後に

 中国SNSにはたくさんのプラットフォームがあり、各プラットフォームによって力を入れているジャンルが異なる。中国SNSでこれから情報発信を始める方々はぜひともその点も考慮し情報発信を行ってください。

*1:出典:2019年オンライン日本語学習教育行業研究報告