中国北京市にいる公介

中国に興味のある日本の方向けに中国現地ネタ(主に北京)投稿。中国歴10年目突入!!

MENU

中国TiktokerがTiktokで完全素人がバズる仕組みを徹底解説

 YoutubeTwitter、Instagaram等のSNSで人脈も何もないゼロから始めるSNS完全ど素人がバズる場合というのは、基本的に影響力のあるアカウントの影響(シェアや高評価、おすすめ)にかかっていることが多い。もちろんテレビ等のメディアに出演したり、コツコツ地道に続けていくというのも一手段ではあるが、一方で中国では無名のじいちゃんばあちゃんが一夜にして中国SNS内で人気になることが起きている。

 

 今回はその仕組みについて、日本でも話題の中国発のショートムービーTiktokをもとに説明していく。

 

f:id:BeijingKosuke:20210226201047j:plain



 

目次

1.Tiktokとは

2.キーワードはTiktokオススメアルゴリズム!?

3.課金システムDOU+とは

4.その他

5.最後に

 

1.Tiktokとは

f:id:BeijingKosuke:20210226150602j:plain出典:iiMedia Research

 

 Tiktokとは中華人民共和国のByteDance社が開発運営しているスマホ向けショートムービプラットフォームのことである。中国では近年ショートムービーユーザーが増えており、2020年には中国のショートムービーユーザーは7億人を突破している。Tiktokは中国でも大人気のショートムービープラットフォームである。なお中国ではTiktokのことを「抖音」という。

 日本人がTiktokと聞くとかわいい女の子がダンスを踊るようなイメージを持つ人が多いようだが、中国ではYoutubeTwitter、Instagaramと同様、美容やグルメ、スポーツ、旅行、語学、ニュースや芸能、ライブ配信など様々なジャンルの動画が人気でそれぞれのジャンルで活躍するTiktokインフルエンサーが存在する。今回の話の趣旨とは少し異なるためこれらの詳細説明については省くが、現在Tiktok中国で老若男女幅広い層に楽しまれている国民的ショートムービープラットフォームであり、Tiktokの爆発的な拡散力に魅了されショートムービーを投稿し続ける企業や個人も少なくない。

 

ではなぜTiktokは従来の動画サイトと異なりバズりやすいのか?

 

2.キーワードはTiktokオススメアルゴリズム!?

※この章での話はTiktokが公式発表しているものではないため中国のTiktokerやTiktok事務所、それから関係者の話をもとに展開していくものとします。そのため日本でリリースされているTiktokの仕組みと異なる場合があります。

f:id:BeijingKosuke:20210226201622j:plain

中国のTiktokでは日本のようなかわいい女の子が躍る動画もあるがじいちゃんやばあちゃんのVlogも人気である

 

  TwitterやInstagaramをやっている人が多くの人に見てもらう為に力を注いでいることといえばタグ付けではなかろうか?確かにTiktokでもある程度タグ付けというのは重要だがみんなに見てもらう一番のポイントはTiktokオススメアルゴリズムを理解することにある。その理由はTiktokの仕組みにある。

 

①動画審査

 Tiktokユーザーが動画を投稿すると、まず最初に行われるのが人工知能と人による審査だ。ここでは映像内容が規約に反しているかだけでなく、映像の質(明るさや画質、PPTなのかなど)、登場者(顔出し有無、本人なのかモノマネなのかなど)、内容(話題のネタ?旬なネタ?広告性が強い?)、タイトルと動画の関連性、などの項目で点数とタグ付けがなされる。この時点で0点に近い動画というのは拡散されにくく、減点の少ない動画については推薦度が高く設定される。

 

②拡散の結果に応じてアルゴリズム機械学習

 審査を通過すると、Tiktokオススメアルゴリズムがランダムに選んだ数百人に動画が流され、反応(いいねの有無、コメントの有無、シェアの有無、フォロー有無、閲覧時間、繰り返しみられたか)と閲覧者の情報(ファン数、年齢、属性など)をデータ分析後、機械学習がなされ、動画の評価がなされる。ここで評価が良い場合は千人ほどに動画が流され、先ほどと同様に機械学習がなされていく。つまり現在Tiktokをやっていていいね数が100以下~500前後で伸び悩んでいる人というのはこの段階でつまずいている可能性が高い。

 この難関をうまく超えると今度は万単位のユーザーに動画が流される。ここではランダム配信ではなく、ユーザーの過去の閲覧動画やフォローアカウントデータなどをもとにマッチングしたユーザーに対して流される。例えば、日中文化の違いをテーマにした動画の場合、ここでは異文化をテーマにした動画を好むユーザーに動画が流される、といった感じだ。その後ここでもデータ分析をもとに機械学習がなされ、うまく難関を突破していくと10万、100万、1000万。。。。。といった感じでオススメ配信→データ分析→機械学習の好ループに乗っかることで、爆発的な拡散がなされる。

 また一度はオススメループに外れても、アルゴリズム機械学習していく中で「特定ユーザーであれば深く好まれる」と判断された場合も、その動画も結果に応じて一定数のユーザーに一定期間流される。中国のショートムービー業界ではこれを「挖坟(墓堀)」といい、過去に挙げた動画が突然息を吹き返したかのように拡散されることからそのように言われている。

 

3.課金システムDOU+とは

f:id:BeijingKosuke:20210226202326j:plain

DOU+や再生数が伸びやすい秘訣に関して述べられた公式動画もある

 SNSといえばフォロワー購入、再生数購入というのが噂されがちだが、Tiktokには上記のアルゴリズムとは別ルートで「狙った属性のアクティブユーザー」に動画を流せる課金システムが存在する。中国Tiktok業界ではこれを「抖加(DOU+)」と呼び、インフルエンサーが新規フォロワーを獲得したり、一定量の再生数やいいね数を維持するために利用することもあるが、企業や個人がTiktokでプロモーションを行う際に見てもらいたい特定ターゲット層にアプローチする際に利用することもある。

4.その他

 その他Tiktokが開催するタグイベントや、Tiktok経由の一部案件、MCNに所属することで上記とはまた異なるルートで動画がオススメされ、拡散される場合もある。これは中国のSNS業界では「资源(資源)」といい、「資源」を得ることも動画をバズらせたり、人気を維持するための一選択肢である。詳細については今回は割愛する。

5.最後に

 日本で動画で稼ぐというと、広告収入と企業案件の2点に注目が行きがちだが、中国ではこれ以外の方法で生活ができている動画投稿者は多く存在する。Tiktokなどのショートムービーは参入の敷居が低いぶん、ライバルも多い。そのためこれから企業案件メインの収入で生活していこうとゼロからTikTokを始めていく人は注意しておきたい。またTikTokは中国で大人気のショートムービープラットフォームであるが、中国にはTikTok以外にも人気の動画プラットフォームが複数存在する。中国SNSでのプロモーションを考えている日本企業の方は安易に中国の大人気プラットフォームでプロモーションを行うのではなく、各々の目的にあったプラットフォームを選択しプロモーションを行っていくことも不可欠ではなかろうかと考える。